雑談

原油ETFは長期投資に向いていない。原油価格の見通し

コロナ禍の相場展望を書く上で、原油価格と原油ETFにも触れておかないといけないので書きます。

この記事もコロナショックの相場見通し同様、素人目線の話なので見当外れもあるかもしれません。

コロナショックの相場見通しについては下記2記事をご覧ください。

コロナショック
【2020年相場予想】コロナショック後にくる●●ショックに備える投資に関することは知ったかぶりになってしまうと思うのであまり書かないようにしているのですが、自分自身への備忘録として書き残しておきます。...
コロンショック
コロンショック後の2020年5月投資戦略。セルインメイは警戒すべきか?投資のことを個人ブログに書くのは控えようと思っているのですが、2ヶ月前の記事をそのまま投げっぱなしというのもアレなので続編も書いておきま...

ただ、東京市場で原油ETFや原油ETNなどを取引する場合は知っておくべきことなので知らない人は見ておいて損はないかと。

なぜ原油価格がマイナスになるのか

原油価格が下がる理由、そして今回初めてマイナス圏突入となった経緯を説明します。

中東産油国とアメリカの価格競争

まず先に、原油価格が下がっていた理由について。

細かいことを書くと中東におけるイラン問題やアメリカとロシアの関係などがあるのですが、それ以上にサウジアラビアとアメリカの産油国覇権争いが最も大きな理由だと思います。

以前は原油といえば中東であり、サウジアラビアやイラク、アラブ首長国連邦などのOPEC(石油輸出国機構)加盟国がメインでした。

それが2018年には、シェールオイルの増産効果により、アメリカが45年ぶりに世界一の産油国に復帰を果たすことに。

世界の原油市場を牽引してきたOPECからすれば、アメリカやロシアといった同等クラスの産油国は邪魔でしかありません。

そこでサウジアラビアは価格が下がろうとも原油を掘り続け、市場価格が崩壊しても首位の座を奪還しようと考えました。

実際、原油価格は下がり続けており、2020年3~4月に関していえばサウジアラビア以外の産油国は原価割れの状況となっています。

このまま原油が掘られ続ければ、利益の出ていないサウジアラビア以外のエネルギー企業は潰れていくと予想されます。

アメリカやロシアのエネルギー企業を潰した後、原油市場の覇権を再び取り戻そうというのがサウジアラビア側の思惑だと思います。

コロナ禍により原油の需要大幅減

サウジとアメリカの原油価格競争が勃発する中で起こったコロナショック。

経済活動が激減し、飛行機も飛ばなくなったので原油の需要が大幅減となりました。何割くらい減少したのか正確なのはわかりませんが、感覚的に5割以上は減った気がします。

需要と供給で価格が決まる商品先物市場ですので、需要が大幅減となれば価格が下がるのは必然です。

余っている原油はマイナス価格でも引き取り手無し

サウジとアメリカの価格競争、コロナ禍による原油需要減、これにより原油が余りまくっている状況です。

原油は保管や輸送に多額の費用が必要ということもあり、損を負ってでも引き取って欲しいという理由からWTI原油は市場初となる-37.63ドルを付けました。

マイナス圏に落ちたのは4月21日付で先物取引が終了し現物交換しなければならない5月限先物のWTI原油だけです。

WTI原油はアメリカ国内で消費されるのがメインであり、日本国内の消費価格にはそれほど関係ないと思います。

欧州は北海ブレンド原油、日本の場合はドバイ原油が国内消費価格に反映されるので、今回のWTI原油ショックでもガソリンが安くなるということはなさそうです。

WTI原油に戻りますが、このままコロナ自粛により経済活動が止まり続ければ6月限、7月限の原油価格も同じことが起こるかもしれません。

また、なぜ日本が消費する中東側の原油価格ではなくアメリカのWTI原油価格を見る必要があるかというと、東証で取引できる原油ETF商品はWTIの原油価格を参照しているからです。

ちなみに、世界一の産油国となったアメリカですが、原油は岩盤から勝手に出続けているような状況のため、必要がないからといっても止めることができません。

タンクに空きがなく保管もできないし、捨てるに捨てられないということもあり、損をしてでも引き取って欲しいというのが原油価格がマイナスとなった理由です。

原油取引は各限月価格を参照

今回、マイナス価格を付けた原油はWTI原油5月物となります。

では、期先であるWTI原油6月限、7月限、8月限はいくらになっているのか?

記事執筆中の5月6日時点ではこのようになっています。

原油ショック

参照:https://nikkei225jp.com/oil/

チャートやリアルタイム価格は参照ページを見てみてください。

WTI原油ですが、保管コストなども含まれた価格となっているため、基本的には期近物よりも期先物の方が価格が高くなる傾向にあります。

また、今で言うとコロナ禍からの回復後、原油需要の価格も回復するとの見通しもあり、これも期先原油高の要因となっています。

5月6日時点で6月限のWTI原油は24ドルくらいを付けていますが、原油需要に変化がなければ、決済日である5月20日前後で先月同様の急落が起こるかしれないので注意が必要。

既にタンクやタンカーは原油でいっぱいみたいで、供給に消費が追いついていない状況です。

保管するところがなければ期近原油が再びマイナスとなるかもしれません。

原油ETFは長期投資には不向き・コンタンゴについて

原油下落原因も知っておいて損はないと思いますが、それ以上に重要となるのが東証で取引できる原油ETFについてです。

ETF(上場投資信託)とは

ETF(Exchange Traded Fund)は、証券取引所に上場している投資信託です。

基本的には指数と連動するように構成されていますが、各種運用コストも含まれているので注意が必要です。

通常の投資信託とは異なり、どの証券会社でも板取引ができるというものになっています。

東証で取引できる2つの原油ETF

東証で取引できる原油ETFは2つあります。

【1671】WTI原油価格連動型上場投信

【1699】NEXTFUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場

以上です。

【1671】WTI原油の方は円換算した米ドル建てWTI原油先物の価格と連動しています。

構成は期近な原油先物がメインでしたが、今回のショックを受けて期先のものだけで構成される場合もあることがわかりました。

一方で【1699】NOMURA原油は「世界の原油先物を対象指数とするETF」と書いてあります。

ただ、組入を見るとWTI原油がメインとなっているようです。こちらも期近な先物だけでなく、5月時点で8月限や9月限、12月限といった期先のもので構成する場合もあるようです。

原油ETFの重しとなる『コンタンゴ』とは

原油ETFは、基本的にはWTI原油価格に連動した動きとなります。

しかし、投資商品という性質上、運用コストや手数料などが発生するため、先物とは多少なりともズレが生じます。

その最たる要因が「コンタンゴ」「バックワーデーション」です。

コンタンゴは「順鞘(じゅんざや)」のことで、原油先物の期先価格よりも期近価格が安い状態を指します。

原油ショック

改めてこちらの表をご覧ください。

6月限よりも7月限、7月限よりも8月限の方が価格が高くなっています。これがコンタンゴ状態です。

原油先物には保管料や生産コストが加わるため、どうしても期近が安く、期先の方が価格が高くなる傾向にあります。

従って、原油は「コンタンゴが発生しやすい商品」ということになります。

コンタンゴの逆がバックワーデーションと言い「逆鞘(ぎゃくざや)」を指します。

コンタンゴがなぜ下落要因となるのか

コンタンゴが発生するとどうなるのかを例を挙げて説明します。

投資信託なので本来あれば口数辺りの単価で計算するのですが、わかりやすくするために、6月限の原油価格が100ドルスタート、7月限の原油価格が120ドルとして計算します。

①1バレル100ドルの6月限原油を10000ドル分購入

10000ドル÷100ドル=100バレル保有

②110ドルに値上がりした6月限原油を期日が来る前に決済

100バレル×110ドル=11000ドル

※原油先物は決済期日になったら現物を受け取らなくてはいけないので、期近なもの(この場合は6月限)をずっと持ち続けることはできず、決済日前に必ず期先のものへ乗り換える必要があります。

つまり、コンタンゴが発生しやすい原油は「安く売って高く買い戻す」が定期的に且つ、強制的に行われることになります。

③1バレル120ドルの7月限原油を11000ドル分購入

11000ドル÷120ドル=91.6バレル

ドル換算で見れば10%の上昇分がそのまま反映されますが、ETF組成の原油量は減少しています。

それでも原油価格が上昇し続ければETF価値も当然上がり続けますが、原油価格が下がった場合は先物以上の価値減少となります。

④原油価格が再び100ドルまで下がった場合

91.6バレル×100ドル=91600ドル

となります。

100ドルの時に買い、再び100ドルに戻っただけなのに価値は減少しています。

コンタンゴが発生しやすいETF商品はこういうことが起こるので、中長期の保有に向いていないということが分かると思います。

こういった理由から、コンタンゴが発生しやすい原油ETFについてはJPXからも注意喚起が出ています。

コンタンゴが発生しやすいETF銘柄

コンタンゴは、主に原油とVIXのETFで発生しやすくなっています。

東証で取引できる銘柄としては以下の通り。

【1552】国際のETF VIX短期先物指数

【1671】WTI原油価格連動型上場投信

【1699】NEXTFUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場

この3銘柄はコンタンゴ発生による下落率が特に大きいETFがです。

極論を言えば長期の売りが正解

コンタンゴが発生しやすい上記3銘柄の月足チャートを見れば、長期の売りが正解であることは一目瞭然かと思います。

【1552】国際のETF VIX短期先物指数

【1552】国際のETF VIX短期先物指数

2011年10月には350万円を付けていましたが、現時点での価格は1万円程度です。

10年足らずで350分の1以下になっています。

短期では急騰する局面もありますが、長期では圧倒的に売り有利のETF銘柄です。

【1671】WTI原油価格連動型上場投信

【1671】WTI原油価格連動型上場投信

こちらも2014年6月に高値7000円を付けていますが、現時点の価格は500円程度。

コンタンゴが発生することで、直近の高値を超え難くなります。

原油が50ドル、100ドルに回復しても、このETFが再び2000円台に回復するのは厳しいと思います。

【1699】NEXTFUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場

【1699】NEXTFUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場

こちらも【1671】同様、2014年6月が高値となっており、1100円台を付けていました。

そこから現時点で100円割れ。

5年半で10分の1以下になっています。

いずれのETFもコンタンゴ発生率が高く、先物市場が乱れると下げやすく、回復し難くになります。

原油価格の上昇材料

中東とアメリカの価格競争、そしてコロナ禍の経済停滞により原油価格は大幅安となっていますが、今後はある程度の反発が予想されます。

原油価格の上昇材料をいくつか挙げておきます。

経済活動の再開

コロナ禍によるロックダウン、自粛要請が解除されれば、経済活動が再開し、原油の消費も復活すると考えられます。

特に大きいところでいえば飛行機と船です。

国際線の再開や貨物船、クルーズ船なども元通りの運行となれば、原油の消費が伸び、価格の安定化に繋がるのは確かだと思います。

戦争・紛争

起こって欲しくはありませんが、戦争、紛争も原油の消費増要因の一つです。

武漢で発生したコロナウイルスにより、中国への風当たりが強まっています。

欧米では中国政府を訴える動きも出始めており、特にアメリカ政府は強行姿勢です。

中国vsアメリカという直接対決はならずとも、中東やアジアを巻き込んだ代理戦争などはかなり高い確率で起こり得ると見ています。

サウジアラビアの急激な減産

原油上昇要因として、一番ありえるのがサウジアラビアによる急激な減産です。

原油価格20ドル付近では、サウジアラビア以外の全ての産油国が赤字で採掘することになると言われています。

サウジも利益が薄れるので痛手ではありますが、他のライバル産油国の企業が一通り潰れたのを確認してから、減産を発表するということも十分にありえます。

しかも、サウジ国営石油会社のサウジアラムコは、今回の原油ショック時に他国の石油会社を買収しているとの情報もあります。

原油市場は、世界最大手企業による合法仕手戦になりつつあり、然るべきタイミングでの上昇がほぼ約束されている気がします。

原油価格の見通し

目先の原油価格は飛行機が飛ぶようになるかどうかに掛かっていると思います。

飛行機が飛ばない限りは需要を供給が上回ることは考え難く、国際線等が再開しないままで6月限WTI原油が決済期日を迎えるようならば、再びマイナス突入もありえると見ています。

経済活動が再開すれば多少の反発はありえますが、最終的にはサウジが追加減産しない限り30ドル以上への回復は厳しいのではないでしょうか。

買うのであれば期近の原油を避け、短期目線で見るのが良さそうです。

東証で取引できる【1671】【1699】はリスクが高く、リターンは少ないので買いで入るのは微妙な気がします。

まとめ

原油価格と原油ETFについていろいろと書きました。

重要な点をまとめておきます。

原油価格と原油ETFまとめ
  • 原油価格下落要因①は中東とアメリカの価格競争
  • 原油価格下落要因②はコロナ禍による経済活動停止
  • WTI原油先物は期日が近づくとマイナス圏へ突入することもある
  • コンタンゴが発生しやすいETFは中長期投資には不向き

特に重要となるのが最後のコンタンゴについてです。

東証で取引できる【1671】と【1699】は原油のリバ狙いでついつい買いたくなる商品ですが、コンタンゴが発生することでロングが圧倒的に不利となることは覚えておいて損はないと思います。

以上、細かい部分で間違いもあるかもしれませんが、専門家ではなく弱小個人投資家なので大目に見ていただけると幸いです。

見通し等もあくまで個人的な予想なので読み流してください。

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